登ってみました「シナイ山」。
と言ってもそれは今から20年以上も前の1997年です。
旧約聖書の「出エジプト記」でモーゼが神から十戒を授かったとされる場所。それがシナイ山。
遠い昔の、遠い異国の、自分とは関係の無いお話だと思っていた私ですが、エジプトへ旅行に行った時に、そのシナイ山に登る機会を得ることができました。
シナイ山の場所は、カイロから東へ、シナイ半島の南部にあります。カイロからはバス移動で片道約8時間(問題が無ければ)です。
シナイ山の標高は2000mを越えると言われており、山頂でご来光を見るためには深夜から登り始める必要があります。登山開始時の辺りは真っ暗。満点の星空。懐中電灯を照らして、登山道らしき道に沿って登っていきます。途中ラクダ引きのオジサンに遭遇すること多数。暗闇からの突然の登場に驚かされます。
山頂に近づくにつれて気温もどんどん下がっていきます。寒暖差が大きいので脱ぎ着できる服装がおすすめです。そして、山頂でいよいよご来光。朝靄が掛かる中、真っ赤な太陽が昇り始めます。
美しいっす・・・ 昇り始めると一気に視界が開け、景色がハッキリと見えてきます。朝日に照らされて赤色に染まる一面の岩山。あまりにも美しい。思わず合掌。神々しい景色に暫く言葉を失い、ただただ見つめるだけでした。
来た道を振り返ると、赤色に染まる一面の岩山です。登っている時は、暗闇で解らなかったのですが、自分が想像もしないところを歩いて来た事に、ただただ驚かされるばかりでした。登山の疲れと山頂の空気感が心地良く、そして遥か昔のモーゼに思いを寄せてシナイ山を満喫する事ができました。
山を下るのにも体力が必要でしたが、雲一つない青空と岩山のコントラストが疲れを忘れさせてくれます。目に見える素晴らしいもの。目に見えない素晴らしいと思えること。否が応でも「人生観」について深く感じる登山経験でした。